今、大判写真で四季の風景を撮って楽しんでいます。大判写真とはフイルムは葉書大で1枚撮りですが、露出・距離はマニュアル、しっかりした三脚、頭にかぶる冠布が要ります。その代わりピントが近くから遠くまで合わせることができます。
先ずは春の桜ですが、中央道 恵那山トンネルを出たところの園原インターから近い長野県阿智の“駒繋ぎの桜”と楽しい苦闘をやりました。花の命も持ち時間も短いので感動度は大です。しかし現像すると幻滅の繰り返しとなります。ここに奥深さがあります。
最初の年は樹の全景にこだわり悩みましたが、3年目になって花の輝きと背景の映えを考慮し、加えて古木の貫禄を出して幽玄さを表現できればと、大それた熱い想いを強めてこの春、残る桜を追いました。
結果は如何でしようか。
2007年3月20日から25日まで京都市美術館で開く彩光写展にてご覧頂けたら嬉しいです。
初夏には棚田にこころを奪われます。
原風景的な棚田には和ませる力があります。新潟県松之山町の棚田は凄いものがあります。水を張ったときは水面に映る朝陽夕陽の色、雲の影の美しさ、黄金の稲穂の豊かな揺れなど素晴らしく、また海に面した千枚田、丸い形の棚田にも魅力があります。
兵庫県にも棚田はたくさんありますが規模は大きくありません。
それにしても当県は広く瀬戸内海から日本海まであり、海・岩・島・滝・渓谷・樹木・花・山岳・雲海・朝陽・タ陽と探せば限りありません。とてもいいところに住んでいるわけです。
次に9月の彼岸花へ飛びますが、名神大垣から桑名へ向かって15分で養老町を越え南濃町に至ります。
そこの津屋川の堤防に大きな群落があり、紅蓮の華が長い赤のじゅうたんとして堤の斜面を埋めつくし、川の青い色と形のよい樹木に映え、とてもダイナミックな景色です。
こんな大きな群落は他に知りません。
曼珠沙華<彼岸花>は稲作の伝承とともに中国から渡来したといわれ球根で殖えます。
この球根を砕き、水にさらせば有毒性分が除かれ飢饉の非常食になるので誰も抜かない風習が伝わったのでしよう。
滝ですが、県下の新温泉町にあるシワガラの滝を紹介します。
この滝は、(財)但馬ふるさとづくり協会発行の『但馬の情報誌T2 Vol.59,JULY2006』の表紙の写真になっています。
秘境性と冒険性の存在があります。
上山高原の案内板のある所に車をおきますが、山の中なのに海上という不思議な地名の所です。ここから先に集落はありません。
長靴に履き替え約20
キロの荷を担ぎ小又川渓谷へ向かいます。
小さい渓流へ下り、峠を越し、林の中を進んで行くと視界が開け、小さいが美しい棚田に出会います。
この田はその昔、藩の隠し田ではなかったかと想像します。ここから立派なブナの木のある林へ入り、くさり場もある急坂にかかります。
この難所を過ぎると暫くで谷底に着きます。なかなかの渓谷です。
いよいよ沢登りです。
鬱蒼とした両岸の木、緑豊かな苔のたっぷりついた岩、あちこちに流木が引っかかってはいますが気持ちのよい景色です。どんどん進むと立派な苔の付いた大きな岩があります。洞くつに到着したのです。
入り口は北面一カ所で水の中の岩を飛び石伝いに入ります。
この写真の日の滝の水量は多くありませんでした。
10メートルほど上の滝口は狭いけれども趣があり、洞くつの中から明るい外を見ますと、滝の水と苔のついた岩盤の緑が層をなし外光で輝き、その美しさは素晴らしいものでした。
気に入って5回行きましたが、そのうち1回は夕立がひどく、もう1回は水量が多くて長靴では無理で退却しました。
狭くて暗い洞くつの中にある小さい滝ですが、全景は広角レンズの出番になります。
夢中で撮影しました。